ねね
先日ツイッターでもつぶやいたのですが、我が子に初めて「エピペン」を打ちました。救急車を呼び、その後様子も見てもらい、娘は大事に至ることなく無事でした。その時の様子をお話します。
親の気の緩みから招いた誤食
ねね
卵は白身0.1g、乳は0.03mlしか摂取できません。普段から「食」にはかなり気をつけており、外食であればなおさら気を使ってきました。ですが…。
「以前食べられたものと似ている」という安心感から誤食へ
ある焼肉屋さんで夕飯を食べている時のことでした。その焼肉屋さんは数回使用したことがあり、娘も食べられるものがあるので、使用頻度は高くはありませんが、この日はたまたま行ってみることになりました。
デザートのタイミングになり、以前食べて症状が現れなかった「シャーベット」を食べようと思いました。以前食べられたのは「ぶどうシャーベット」。
ですがこの日は「ぶどうシャーベット」はなく、代わりに「みかんシャーベット」と「メロンシャーベット」がありました。
- 以前ここのお店で「シャーベット」は問題なく食べられた
- 「アイス」は乳が入っているが「シャーベット」にはあまり乳が入っていない印象がある
完全に私の思い込みで、娘に「みかんシャーベット」と「メロンシャーベット」を渡してしまったのです。ですが夫がすかさず…
夫
ねね
と私は返したものの不安になり、娘のお皿からシャーベットを取って一口食べてみました。
ねね
ようやくそこで気がついて娘が食べているのを制止し、店員さんを呼びました。
ねね
店員
確認して頂いたら、「乳製品」と記載がありました。何ということでしょう…。あれだけ普段は気をつけているのに、なぜ私は原材料を確認もせず娘にシャーベットを食べさせてしまったのか。
この時点で娘はシャーベットをスプーン3杯程度食べていました。
異変は食後20分で起き始める
シャーベットを食べてから約20分後、娘の身体に異変が起き始めます。
- 急に大きな咳をしはじめて、止まる気配がない
- 急激に、全身が真っ赤になり、かゆみが生じる
- 声がかすれていて話しにくそう
今までも何度かアナフィラキシーになったことはありますが、今回の症状は「急激に」「呼吸器の症状が強く」出たのでかなり重症だということがすぐに分かりました。
私は夫に慌てて…
ねね
と言い、カバンの中からエピペンを取り出し、打つ準備をしました。
初めての「エピペン注射」はとても難しかった
いざ娘の太ももにエピペンを打とうとするのですが、親も混乱していて、講習会を受けていたはずなのに手順がわからなくなります。
幸いなことに、現場には私だけではなく夫もいてくれたので、2人で冷静になるよう声掛けをしながら、2人で手順を確認しました。
娘
と泣き叫ぶ娘を、暴れないように大人2人で押さえつけて、手順どおりにエピペンを打ちました。ですが…
エピペンの針が曲がってしまった
娘の足からエピペンを抜くと、針先が曲がっていました。講習会では、
- とにかく注射時に身体を動かさないこと
- 動いてしまうと針が曲がって大きな傷になったり、きちんと薬が体内に入らない可能性があること
を教わっていました。教わっていたのに…。いざ自分の娘にエピペンを打つとなると、どうしても力が入ってしまったようです。
ねね
不安になりながら、講習会で教わったとおりに、救急車を呼びました。
救急搬送→無事を確認
夫が救急車を呼んでくれている間、私は娘の身体を抱きながら何度も、ごめんねごめんね…と大丈夫、大丈夫だよ…と繰り返し言いました。娘の症状はエピペンを打った後、咳の症状が一気におさまり、少し楽になったようでした。
ねね
初めての救急車です。娘は大丈夫なのか、今からどうなるのか、色々と不安ではありましたが、救急隊員の方が丁寧に対応してくださり、娘の血圧、酸素濃度等をはかりながら、かかりつけの大きい病院へ搬送されました。
頭が下がる思い「救急の現場」
私達が搬送されると、すぐに4~5名の医師・看護師が来てくれ、娘の状態を一気に見てくれます。エピペンを早期に打てたことが良かったようで、幸いなことに娘の状態は安定しており、お医者様からも大丈夫そうですね、との言葉を頂けました。
エピペンの針が曲がったものの、大きな傷もなく、エピペンの効果はしっかりと出ているようでした。
ねね
娘はこの頃には、会話ができるほど回復しており、笑顔も見られたので、あぁ…助かったんだなとようやく実感が湧いてきました。
私たちが搬送されたのは20:30。到着後すぐに状態を確認して頂き、問題ないことを確認した上で色々と手続き等もあり、私たちが病院を出たのが23:30でした。
約3時間、病院の中にいたのです。
その間は正直なところほとんどが「待ち時間」でした。お医者様は何をしているのかというと、「次々と運ばれてくる患者さんを休む暇なく診てくれている」のです。
救急車で搬送される患者さんだけでなく、自力で夜間救急に来られた方も含めて、全ての患者さんを複数人で丁寧に診察されていました。
ねね
休日の夜遅くでも見てくれる医師・看護師・病院・日本の医療制度・救急の制度、全てに対して感謝の気持ちを強く持ちました。
一連の出来事を振り返り学んだこと
娘はその後、再度具合が悪くなったりすることもなく、無事に日常生活を過ごせるほどに回復いたしました。一連の出来事を振り返って、私が感じたことをお伝えします。
1.エピペン使用のタイミングの重要さ
私がエピペンを使用したのは、症状が現れてから5分以内だったと思います。今回は親の私から見て、「急激に」「呼吸器症状が強く」現れていたので、比較的早く打つことができました。
ですが、その5分の間にも…
ねね
夫
ねね
といった具合で、最初は「飲み薬」を飲ませようかと迷いました。ですが、その時に思い浮かんだのがエピペン講習会で受けた内容でした。
- 飲み薬は効果が出るのが遅い(服薬後20~30分後)
- エピペンは早く効果が出る(注射後5分以内)
講習会で習ったことが頭をよぎり、すぐに「エピペンを打つ」に頭を切り替えることができました。
救急搬送された時の医師・看護師や、後日診察してくれたかかかりつけ医にも、
- お母さんの手順は正しかった。(よく頑張ったね)←私、なみだ。
- 早く打つことがとても大事。(よくできたね)←私、なみだ。
と言われました。かかりつけ医には「声がかすれていた」と伝えると…
医者
と言われました。(もちろん私、泣きました)
症状が疑われたら、とにかく早くエピペンを打つ
ことがとても大事だと思い知らされました。
2.エピペンの効果
娘は「強い咳+全身の赤み+声がかすれる」という症状でしたが、エピペン投与後、おそらく3~4分で、咳がほとんど出なくなりました。
その瞬間は「咳が出なくなった」のか、「たまたま咳が出ていない」だけでその後また咳が出るのか、よく分からなかったので(エピペンの針が曲がっていたこともあり)とにかくすぐにお医者さんに診てもらいたいという気持ちがありました。
ですが今になって振り返ると、エピペンの効果は投与後3~4分でしっかり現れていました。
娘の命を守ってくれるエピペンの威力を肌で感じました。
3.アナフィラキシー発症後24時間以内は再発の恐れがある
救急搬送され、医師に診てもらった時にこんなことを言われました。
医者
医者
私は24時間以内に再発する恐れがあることを知りませんでした。
私が初めてアレルギーを起こした時の記事でオススメしているほむほむ先生も…
なお、アナフィラキシー後に再度症状が出現する場合があります。24時間以上経過してから起こることはほぼありませんが、頭の片隅においていただければ、、
そしてエピペンを早期に使用いただいた場合、再度の反応は減るという報告があります。
その心配を減らしてくださったのはねねさんです!— ほむほむ@アレルギー専門医 (@ped_allergy) 2019年1月27日
とのご助言を頂きました。お伝えしてくれるなんて本当にありがたい…😭ご存知ない方がいらっしゃれば、ぜひ頭の片隅にいれておいてください🙂
4.普段から練習用トレーナーでエピペンを打つ練習をすべき
エピペンを実際打つ、となるとやはり戸惑い、ためらい、混乱が生じて、なかなか打つ勇気が出ませんでした。
また、
- 毎月1回はかかりつけ病院でエピペンのテストを受けている「私」
- 毎回仕事でエピペンのテストを受けていない「夫」
では、打つタイミングの判断基準、救急車を呼ぶ判断基準等がズレていることも分かりました。
エピペンを打つ可能性がある家族全員が、「エピペンを打つタイミング」「エピペンを打つ方法」「エピペンを打った後の対処法」について共通認識を持ち、日頃からエピペンを打つ練習を練習用トレーナーで行うことがとても大切だと思いました。
この記事を診てくれている方は食アレっ子ママさんが多いかと思います。あなたの「夫」は、あなたがいない状態でも1人で我が子にエピペンを打てますか?
5.娘の「乳」アレルギー克服への道のりはまだまだ長いこと
娘が食べたのはシャーベットをスプーンで3杯程度でした。でも…かなり強くアレルギー症状が出ました。去年の6月に初めて大きな病院で乳の負荷試験を行ってから、かかさず乳の摂取は微量ながら行っていましたが…。
まだまだ克服への道のりは長いことが分かりました。
卵と乳アレルギーに関しては、気長に少しずつ食べられる量が増えるように、摂取をしていきたいと思います。
6.娘はまだ自分で「自分」をコントロールできない=周りの大人に頼るしかない
娘は現在4才です。卵と乳が入っているものは食べられないこと、食べるとかゆくなること等は理解しています。ですが、シャーベットを食べ始めて、私達親が食べるのを止めようとした時に…
ねね
と言い、引き続き食べようとしました。(勿論止めました)
夫とも話しましたが、親だからすぐに止められますが、周りにいる大人が「(保育園・小学校の)先生」だったら…?
食物アレルギーを持つ児童がいて、その子が食べているものがアレルゲンが含まれているかもしれないという状況。
その時に児童が「これ、食べれるから大丈夫」と言ったら…?
果たして子供の言葉に反して食べるのを止めさせて、すぐにエピペンを打ってくれる先生はいるのだろうか…?
私はエピペン講習会を受けた時に説明を受けた、調布市の小学5年生の死亡事例を思い出しました。
- 児童が誤食し、症状が現れた3分後に先生がエピペンを打とうか?と聞く
- 児童が、「違う、打たないで」と言う
その後、症状が出てわずか14分後に小学5年生の女の子は死亡してしまいます。きっと過去にエピペンを打たれた経験があって怖かったのかな…これは私の憶測ですが。
娘はまだ4才という年齢で余計に、自分のアレルギー症状のことが分かっていません。私達親が常に娘のそばにいられるというわけでもなく、そうなると周囲にいてくれる大人の人に頼るしかありません。
私は今回の件も、保育園の先生に共有し、お手数をかけて申し訳ないのですが、娘のことをよろしく頼みますとお伝えしました。
エピペンは娘の命を救うお守りでした
「エピペン」って処方される前まではなんとなく怖いものだと思っていました。アレルギー症状が強い人が打つもの、という認識で、自分には関係ないもの、という認識さえありました。
ですが、娘は私が思うよりもアレルギー症状が重かったようです。昨年の春に初めてエピペンを処方されました。
かかりつけの病院内で行われたエピペン講習会に参加し、エピペンの必要性、使い方、対処の仕方を丁寧に教わり、また月1回行っている負荷試験で毎回エピペンのテストを受けていたため、いざ使用する時も、ほとんどためらうことなく使用することができました。かかりつけの病院に感謝です。
エピペンを使用して、娘の症状は劇的に良くなりました。エピペンが娘の命を救ってくれたのです。
使用する時は怖くて、迷って、冷静になるのは難しかったですが、でも、早期に使用したおかげで娘のアレルギー症状は進行することはなく、その日のうちに無事に家に帰れました。
まだまだ我が家は食物アレルギーと向き合っていかなければなりません。
今回初めて使用してみてわかった教訓を胸にして、日頃からエピペンを打つ練習をしたり、夫とエピペンに関する知識を共有していきたいと思います。
最後になりましたが、今回の件でお声がけ頂いたツイッターのフォロワーさん、お医者様、ありがとうございました。
エピペンを使用することになってしまい、罪悪感の渦に巻き込まれていた私に、そっと温かいお言葉をかけて頂き、心が本当に救われました。
この私の体験を共有することによって、皆さんの心の中に、共感・教訓・戒め等、何かが残れば良いなと思います。ありがとうございました。
食物アレルギーはなぜ起こる?我が子が初めて食物アレルギーを発症した時のお話
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